第1章 エクストラ

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「…ん?  何だ?」 狼の血を色濃く受けているだろう亜人が異質な空気を察知する。 視覚、聴覚、嗅覚を駆使して辺りを見渡す。 常人より遥かに発達した感覚を持ってしても、自分のいる遺跡前の空間から先を感じ取れない。 逆にそれが、異常事態を知らせていた。 「おい…  これは…」 「ああ。  何かおかしい」 周囲の亜人達も気付き始めたようだ。 既に腰の剣を引き抜いている者さえいる。 遺跡前の広場で野営していた亜人達が警戒を強める。 「アンナ。  中に非難してろ。 非戦闘員は、2番ゲートから待避だ」 「え…?」 「早く!」 「う、うん!  分かった!」 狼の亜人の言葉に、獣の耳と尻尾を持つ若い女性が応え、慌てて遺跡の鋼鉄の扉へ駆け出す。 瞬間、辺りが暗くなってゆく。 「嘘だろ!?」 誰かが声を震わせる。 「まずい…  『シーカー』だ!  皆逃げろ!」 頭に左右一対の角を持つ男が叫ぶ。
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