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「…俺はもう、お前らに敵対する意思も、理由も無い。
だから、これ以上は止めろ」
「貴様が生み出した憎悪だろう!
過去を切り捨てられはしないぞ!」
剥き出しの殺意を、ギャザリンは受け止め様とはしなかった。
「それでも、俺はもう殺さない。
エクストラがそこに在る為に生きると…
そう決めたからな」
それだけ言うと、ギャザリンはレザーナに背を向け、エクストラの元に歩む。
「心配させたか?」
エクストラは首を横にぷるぷる振って笑顔を浮かべる。
「そうか」
ギャザリンは微笑をもって応えた。
「…今私を殺さねば、私は何度でも貴様を付け狙うぞ」
己れの無力さを悔やみながら、レザーナは殺気を放ち続ける。
だが、レザーナにも動揺があった。
ただ残虐な存在でしかなかった男が、自分に情けを掛けるとは。
無邪気に笑い掛ける少女が、この男を変えたのか。
「俺は、過去を否定するつもりはない。
だが…まだ死ぬつもりもない」
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