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エクストラを抱き上げるギャザリン。
気恥ずかしそうに頬を赤くするエクストラを他所に、
「憎んでくれて構わない。
俺は今も、こうしてお前の尊厳を踏みにじっているのだから」
一足で跳躍、ギャザリンとエクストラは森の中に消えて行った。
「くそ…
私は…」
これまでの生は、ギャザリンとの決着を望み続けた故に在ったのだと、レザーナは思っていた。
だが、全霊を賭けて挑んだ死闘を無下にあしらわれ、敗れて尚、自分は生き永らえている。
悔しさと、沸々と沸き上がる虚無感がレザーナを襲う。
どんな経緯があったかは分からない。
しかし、憎んだ相手は先を見据えていた。
真っ向から受けた殺意に、染み付いた行動で返しはしなかった。
「過去に縛られ、未来を見ていない…
これが私の、限界か…」
実力差を突き付けられ、それが尚更に大きなものに感じられた。
「くくく…
はは…」
自身が酷く滑稽で、矮小なものに感じた。
「ふふ…
う、ぐ…
アぁあアアぁあああっ!」
何の為に。
レザーナの混迷と慟哭の雄叫びが、天へと舞い上がって行った。
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