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ギャザリンはエクストラの手を、優しく握り返す。
「それだけではない何かが、今、俺の中に在る。
レザーナと対峙した時初めて、自分に恐怖を覚えた。
自分が無機質に生み出してきたものがどういうものか、少し、感じた。
俺は、取り返しの付かない過ちを犯して来たんだと」
レザーナとの衝突は、自分の罪に正面から向き合った瞬間だった。
「エクストラ。
それでも、こんな俺を必要とするのか?」
後ろめたい気持ちがある。
純粋な気持ちで触れてくるエクストラに、自分はどのようにして応えていけるのだろう。
「ギャザリンは、優しさを知ったよ?
過去を見据える強さを知ったよ?
だから…
これからは、その優しさで誰かを救えるよ。
過去は変えられないけど、ギャザリンの想いは、今ここに在るんだから」
元気付けようと、エクストラは精一杯の笑顔を浮かべる。
「いつか、ギャザリンの名が称えられる日が来るよ。
シルバーツ。
いつか訪れる、その慈しみの名を、あたしに頂戴」
瞳を潤ませるエクストラはあまりに美しく、そして愛しく感じられた。
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