それが生きるという事

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レンデバード。 そこは、ラミラリーダ王国西南の海岸に位置する、商業都市の1つ。 人口20万人を誇る、国の中でも大きい部類の都市だ。 その内、亜人が2千人余り。 およそ数百人が、街外れのスラムで怯える様に隠れ住み、残る亜人は、奴隷として飼われていた。 奴隷の売買は、公的に堂々と行われていたりする。 商業として亜人の人身売買が公然と認められる、歪んだ時代なのだ。 亜人に、人権は存在しない。 ギャザリンとエクストラは、レンデバードの商業地区に来ていた。 「ねぇねぇ、ギャズ?  あれは何?」 「タカートの糸で縫われた織物だ。 あの規模の露店だと、業務用からオーダーメイドまで広く扱っているな」 「へぇ~。  あっ! あれは?」 「あの店は天然の鉱石を加工して、その場でアクセサリーを製作してくれる。 加工品も扱っているが、客のニーズに添う事を優先している店だな」 「なるほど~!  …あ、あれ…可愛ぃ~い!  ギャズ!  いこ!近くで見たい!」 「おいおい。  慌てて転ぶなよ」 初めて見る、活気ある街並みや露店商に目を奪われ、はしゃぐエクストラ。 ギャザリンは持ち得る知識で彼女をエスコートしていた。
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