それが生きるという事

7/23

445人が本棚に入れています
本棚に追加
/368ページ
2人の容姿は、これまでとは違っていた。 ギャザリンは漆黒の鎧を纏ってはおらず、ラフなジャケットに黒のズボン。 頭髪の色は黒ではなく、金色だった。 それに、目元を隠す黒のサングラス。 やや目立つが、培われた経験を内包する瞳を隠す必要があった。 現に、大衆に飲まれれば気に止める者はいない。 エクストラも髪の色は紺では無く、ギャザリンとお揃いのブロンドで、瞳の色は濃いブルー。 一見人目を引きそうだが、そうでもない。 ラミラリーダの人々は色素の薄い者が多いからだ。 この国では、逆に黒髪の方が目立つ。 エクストラは、チェックのミニスカートを靡かせ、ギャザリンの手を引いて次々と移ろう景色に見惚れていた。 しかし、見惚れているのは周囲も同じ。 幾分幼いながらに、女性らしい、魅力的でスレンダーな身体のラインを隠さないチュニックを着こなしている。 薄手のジャケットを羽織り、無邪気に振る舞う姿は、道行く度に人々を魅了した。 可憐に舞う、美しき少女がここにいる。
/368ページ

最初のコメントを投稿しよう!

445人が本棚に入れています
本棚に追加