445人が本棚に入れています
本棚に追加
/368ページ
人間の生活圏を離れれば、そこは『テラー』が闊歩する未開拓の地が広がる。
稀少な資源を得るには、そうした危険地帯に踏み込まねばならない為、それだけで困難であり稀少価値があった。
「ありがと、ギャズ。
なんだかしてもらってばかりだね、あたし」
間を開けて、エクストラは寂しく笑う。
ギャザリンは、エクストラの頭を撫でてやる。
「まぁ、俺がそうしたいだけだから、気にしなくていいんだけどな」
子供扱いされ、エクストラは頬を膨らませる。
「…なぁ、エリー。
この街は気に入ったか?」
活気ある街並みと、多くの日々を生きる人々を見た。
エクストラに実感してもらい、問いたかった。
彼女が選ぶ1つの明日に、1人の人間として生きる未来もあると思える。
「うん!
とっても明るい街だね!」
エクストラが笑みを咲かせる。
「でも」
急激に、少女の表情が陰る。
「綺麗で、明るいだけじゃ…ないよね?」
憂いを込めて、ギャザリンを見詰める。
最初のコメントを投稿しよう!