それが生きるという事

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人間の生活圏を離れれば、そこは『テラー』が闊歩する未開拓の地が広がる。 稀少な資源を得るには、そうした危険地帯に踏み込まねばならない為、それだけで困難であり稀少価値があった。 「ありがと、ギャズ。 なんだかしてもらってばかりだね、あたし」 間を開けて、エクストラは寂しく笑う。 ギャザリンは、エクストラの頭を撫でてやる。 「まぁ、俺がそうしたいだけだから、気にしなくていいんだけどな」 子供扱いされ、エクストラは頬を膨らませる。 「…なぁ、エリー。  この街は気に入ったか?」 活気ある街並みと、多くの日々を生きる人々を見た。 エクストラに実感してもらい、問いたかった。 彼女が選ぶ1つの明日に、1人の人間として生きる未来もあると思える。 「うん!  とっても明るい街だね!」 エクストラが笑みを咲かせる。 「でも」 急激に、少女の表情が陰る。 「綺麗で、明るいだけじゃ…ないよね?」 憂いを込めて、ギャザリンを見詰める。
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