445人が本棚に入れています
本棚に追加
/368ページ
「…そうだな」
エクストラは自分を作った亜人達によって、ある程度の知識を与えられていた。
この世界に在る繁栄の側面や裏側について、特に多く知っている。
彼女は、人間社会に対抗する為に生み出されたのだから。
エクストラは自分自身の未来を望んでいる。
だが、兵器となるべく与えられた偏った知識が、彼女から笑顔を奪っていた。
「この華やかさの裏には、犠牲となる人達が居る。
輝いて見えるのに…
なんだか、悲しいね」
明朗快活な印象を与えながら、視野が広く、核心的な言動も見せる。
不思議な少女だ。
いや、“俺”が人の心を見ようとしてこなかった為に、余計そう感じるのか。
「確かに…そういう一面はあるし、否定出来ない。
それが現実だからな。
人口の比率や世情で弾圧される人がいる。
一方的な価値観を強要する…
繁栄の代償は、偏見と差別だ」
最初のコメントを投稿しよう!