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それは、人間側の暴挙を体現していた自分がよく知っている。
「変わらないのかな?
これからも、それは変わらないのかな…?」
エクストラの揺れる瞳が、ギャザリンを見詰める。
「…それを、誰もが当たり前だと思っている内は。
変化を促すというのは、難しいな」
「そう…」
言葉小さく、エクストラは俯く。
今の世界の現状に疑問や不条理を感じているのは、亜人を除けば、自分達くらいかもしれない。
それが当たり前だから。
ギャザリンは寂しげなエクストラを見詰めながら思う。
少女が望む未来は?
この歪みを孕む人間社会に、果たしてあるのだろうか。
その後、あまり出歩き続ける雰囲気でも無かった為、2人は宿泊先の旅行客向けのロイヤルホテルに来ていた。
「わぁ~、広ーい!
綺麗!」
ホテルのロビーに着くなり、はしゃぎ出すエクストラ。
先程までの暗い影は見られない。
ロビーは、旅行客を出迎えるに十分な、きらびやかさと豪華さを備えていた。
幾つも在る、光を反射するシャンデリアが美しく主張している。
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