それが生きるという事

13/23

445人が本棚に入れています
本棚に追加
/368ページ
困惑するエクストラ。 人間でも亜人でもない、世界から逸脱した存在。 彼女の胸中は、何にも染まれないが故に複雑だった。 人間社会に惹かれているかに見えたエクストラ。 しかし、その本質は憧れだ。 手の届かないものと、外側から眺めていたから。 「ギャザリン。  あたしは…」 躊躇いがある。 ギャザリンは、動揺するエクストラの返答を待った。 「…その前に、見ておきたい。  この世界の闇を」 暫しの沈黙の後、ギャザリンを見詰め返しての言葉だった。 翌日の正午、2人は街外れのスラムに来ていた。 自分達を見ただけで、物影に隠れる亜人を何人も確認できた。 そうしない者は、動けない程に衰弱しているよう。 街外れのスラムは荒れ果て、活気付いている街中とはあまりに違い過ぎた。
/368ページ

最初のコメントを投稿しよう!

445人が本棚に入れています
本棚に追加