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困惑するエクストラ。
人間でも亜人でもない、世界から逸脱した存在。
彼女の胸中は、何にも染まれないが故に複雑だった。
人間社会に惹かれているかに見えたエクストラ。
しかし、その本質は憧れだ。
手の届かないものと、外側から眺めていたから。
「ギャザリン。
あたしは…」
躊躇いがある。
ギャザリンは、動揺するエクストラの返答を待った。
「…その前に、見ておきたい。
この世界の闇を」
暫しの沈黙の後、ギャザリンを見詰め返しての言葉だった。
翌日の正午、2人は街外れのスラムに来ていた。
自分達を見ただけで、物影に隠れる亜人を何人も確認できた。
そうしない者は、動けない程に衰弱しているよう。
街外れのスラムは荒れ果て、活気付いている街中とはあまりに違い過ぎた。
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