それが生きるという事

14/23

445人が本棚に入れています
本棚に追加
/368ページ
人間が踏み入るには場違いな空間が、そこには在った。 「…何で、こんなにも違うの?」 エクストラの瞳は揺れる。 「お前ら人間様が、こんなとこに何か用か?」 辺りを見渡しながら歩んでいた2人の前に、みすぼらしい衣服を纏う数人の若い亜人が現れ、敵意を剥き出しにして語り掛けてきた。 白い体毛や動物の耳を持つ姿から放つ空気は、一切の拒絶を感じさせる。 「ここは観光する場所じゃねぇぞ?」 「あ、あたし達は…」 「あん?なんだよ?」 一方的に向けられる敵意に、エクストラはたじろぐ。 「連れて来たのは俺だ。  少し…話を聞かせて欲しい」 「あ?何言ってんだお前…」 エクストラに向けていた矛先を、ギャザリンに変える1人の亜人。 その手に、力が籠る。 「止めろ」 ギャザリンとエクストラの前に立ち塞がる亜人達の後ろから、落ち着いた雰囲気を漂わせ、白髪で色白の1人の亜人が近付いて来た。 限り無く人間に近く見えるが、瞳は金色で瞳孔は細い。 骨格もやや発達しており、それは人間の形をした別個の存在を思わせた。
/368ページ

最初のコメントを投稿しよう!

445人が本棚に入れています
本棚に追加