それが生きるという事

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「ゼリオさん…」 そう呼ばれた白髪の男性が、若い亜人達の前に出る。 「非礼は詫びる。 だが、君達の様な人間の来るべき所では無い。 良からぬ事態が起こる前に、早々に立ち去る事をお勧めするよ」 口調は穏やかなものだが、ゼリオの瞳の奥には、背後の亜人達と同種の感情が見て取れた。 「貴方達は、どうしてここに…? 何も…弾圧下に居続けなくても」 「何を…言っている?」 エクストラの発言に、ゼリオが眉根を寄せる。 しかしエクストラの瞳には、哀愁の色が在った。 亜人達にしてみれば、その問いは見下す者が口にする、軽薄な侮辱にも映るだろう。 現に、若い亜人達は歯を軋ませ、今にも躍り掛からんばかりの形相だ。 しかし、ゼリオは違っていた。 「…ここではなんだ。  ついて来てくれ」 踵を返して歩き出す。 「ゼ、ゼリオさん!?」 慌てる他の亜人を無視し、ギャザリンはエクストラの手を引き、ゼリオの後を追う。 「入ってくれ」 案内されたのは、辛うじて屋根の残る、さして広くもない石造りの民家。 ゼリオが躊躇い無く入って行ったので、2人も続く。
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