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「お前達はいい。
外で待て」
ゼリオの指示に渋々亜人達は従い、扉を閉めた。
「ここにはこんな場所しか無くてね。
汚れているが、まぁ許してくれ」
あくまで形式的に、ゼリオは声を掛けると部屋の片隅にある椅子に腰掛けた。
「…盗聴防止の力場か。
高度な技術を持ってるな」
部屋に掛けられた魔法に気付くギャザリン。
「…出来れば聞かれたくは無いだろう?」
「配慮には感謝するよ」
ギャザリンもゼリオに習い、いくつかある近場の椅子に座り、エクストラも遅れて着席する。
「さっきの質問…
他の亜人にはしない事だね。
誰も好き好んで、こんな所に居る訳じゃない」
ゼリオの返答は、冷ややかなものだった。
「…彼女は訳あって、世情に疎い。
決して、君達の気持ちを逆撫でするつもりは無かった」
「珍しいね。
いや…珍しいのはその存在か」
ゼリオはエクストラを見据え、表情を固くする。
「…っ!」
ギャザリンが一気に警戒心を強める。
その態度を、ゼリオはいぶかしんだ。
「魔力の操作や感知に優れた者なら、誰でも気付くだろ?
まるで魔素を自身で作り出しているかの様な、溢れ、舞う魔素の流れ。
脅威的だよ」
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