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全霊を賭け、両腕を広げて飛びかかる狼の亜人。
その前に、1人の黒騎士が割って入る。
手に在る黒剣と漆黒のオーラで作り出した盾と刃で、即座に振るわれた亜人の長爪を止める。
「邪魔だ!」
「シルバーツ隊長、ここはお任せを」
亜人を止めた栗色の髪の騎士、クロイツがギャザリンを促す。
「ああ。
任せる」
クロイツを一瞥し、ギャザリンは遺跡内へと踏み込んだ。
歯牙にも掛けていない。
ダークネスのその態度に、狼の亜人は憤慨する。
存在自体を軽視し、他者を見下し命を奪う。
その男は、一体何だと言うのか。
「待て!!」
だが、そんな狼の亜人の憤りを嘲笑うかのように、目の前の騎士クロイツは強く、ギャザリンの背は離れて行く。
「隊長の後を追いたければ、私を殺してからにするんだな。
まぁ、不可能だが」
体格的に、今や二回りは違う狼の亜人の腕力を完全に受け止め、振るわれる鋭爪の斬撃を的確にいなすクロイツ。
この男もまた、常軌を逸した力の使い手だった。
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