気付けば、そこに

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  ずっと僕だけの居場所は見つからない。 そしたらさ、君はあったかいスープを出してくれたんだ。 全てを知ってるような優しいほほ笑みで 「はい」って。 僕がありがとう、って受け取り1口、口にすると 君がまたにっこり笑って 「無理に捜す必要はないんじゃないかな」 と1人言みたいに呟いた。 僕は思わず「え?」と聞き返したんだ、 君は言葉を続けた。 「例えばさ、疲れた今の状態で、その温かいスープで1息、 それって心が安らがない? そういうのも、1つの居場所かな、なんて」 君は「何言ってんのかわかんなくなっちゃった」と笑った。 僕は両手に持ったスープに視線を移した。  
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