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浦『思い出した!わっりぃ!』
さっきまでの寝ぼけた声とうってかわり、いつもの元気な浦正の声。
蓮「で?なんや?」
浦『ダチから、サッカーのチケット2枚貰ったんだよ!』
蓮「サッカー?」
浦『おう。試合、今日でさー。蓮次、一緒に行かねー?』
蓮「お前…、せっかくのペアチケットなんやから、彼女とか誘えや~。」
浦『っ…!』
いつもの冗談のつもりで、言ったが電話口の向こうで言葉では無く、舌打ちが聞こえた。
そして、数秒―
沈黙が流れる。
耐えかねて、俺は口を開いた。
蓮「うらま…」
浦『うっせーよ。いいよ、女誘うから。助言どうもありがとうございましたっ!』
一方的に言葉を吐き捨てるように言ったかと思えば、すぐに電話は切られた。
また、やっちまった…
これまでも、似たようなことは数回あった。
浦正はストイックで熱い、真っ直ぐな男だから、冗談が通じない時がある。
ただ、俺は関西人だから、冗談がちょくちょく出てしまう。
それは以前、浦正も納得してくれたはずなんだが…
そろそろ慣れてくれたかと思ったのに―
蓮「どないしろっちゅーねん。あのアホ。一方的過ぎんのや…」
それが自分の本当の気持ちかは分からないが、気づくとその言葉を口にしていた。
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