甘え上手

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  『先輩、薫の前髪おかしくないですかぁ? 昨日自分で切ってみたんですけどぉ、なんか、なんかぁ変なんですぅ』   『変じゃないわよ』   『やだっ! 先輩、薫の事見ないで言ってる。ちゃんと見て下さいっ』   『うるさいっ!』   『ひゃっ』     人が納品計画を立ててる横でグダグダと言う薫に腹を立て、デスクをバンッと両手で叩いた。     『アタシはね、仕事をしてるの。薫ちゃん、そんなに大きなおメメしてるのに見えないのかな』   『あっ、先輩……』   『判ればいいのよ、判れば。さっさと貴女も仕事しなさい』   『その書類、破れちゃいましたよぉ』     薫に言われ見ると、さっきの叩いた勢いで少しだけ破けていた。     朝から邪魔しやがって……。     アタシのこめかみがピクピクするのが自分でも判る。     『えっと、薫も仕事しちゃおうっと』   『自分の事、名前で言わないっ!』   『いや~ん、また薫ったら先輩に叱られちゃったぁ』     フロアにいた男性社員が2名、薫の傍に行き、どうしたの?などと聞いている。   手をグーにして顎の下に置き、くねくねする薫。     気付くとアタシの両手もデスクの上でグーになって震えていた。  
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