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『先輩、ここの書き方ってこれでいいんですよねぇ？ 薫ったらすぐ忘れちゃう……。これだから先輩に叱られちゃうんですね……』
そう言ってアタシの傍にやってきた彼女の持つ書類に目をやる。
『見せて』
出された書類に目を通す。
『ここ違うわよ。一段ずれてるんじゃない？ 他にも仕事抱えてるんでしょ。アタシも部長に出す書類あるから直して一緒に出しておくから、次の仕事しちゃいなさい』
『先輩、薫、嬉しい。先輩がいないと薫ったら全然ダメな子ですぅ』
そう言うと彼女は自分のデスクに戻っていった。
こんなの間違えようもない書式なんだけどねぇ。
一体いつになったらちゃんと仕事が出来るようになるのかしら。
『あれ？ 薫ちゃんそれ判らない？ どれどれ俺がやってあげるよ』
『うわぁ嬉しい。篠崎さんがいて薫ったら救われましたぁ』
おいおい、自分の仕事が無くなるだろうが。
『あ、薫ちゃん……、伊東さんが、その、ほら……。ここだけ教えるからあとは薫ちゃんがやってごらん』
篠崎に言われた薫はアタシの方に視線を向けると首を傾げニコッと笑った。
お返しにアタシも首を傾げて見せた。
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