1870人が本棚に入れています
本棚に追加
アタシは席を立ちトイレへと行った。
用を済ませ、手を洗いながら目の前の鏡に写る自分の顔を見た。
このところ忙しかったせいか、睡眠も足りてないせいか、化粧のノリが悪いのが見てとれる。
『いやぁ~ねぇ。30過ぎるとコレだから』
トイレから出てくると座敷にはアタシの座るスペースが無くなっていた。
アタシの座っていた場所に京子が移動してきて、篠崎を薫と挟む形になっていた。
必死ね、ふたり共。
アタシはカウンターの空いていた席に座りビールを頼んだ。
座敷のテーブルの上に置いてあったタバコをこちらに持ってきて、1本くわえて火をつける。
隣に座る人が灰皿をアタシの方に少しずらしてきたので、どうもと頭を下げた。
『会社の飲み会ですか?賑やかで楽しそうだな』
『すいません、うるさくないです?』
『いや、全然。こういうとこは楽しく飲む場所ですよ』
そう笑うその人は、日に焼けたガッシリとした体格で、ジムかスポーツをした帰りなのかジャージにTシャツという恰好をしていた。
最初のコメントを投稿しよう!