年下の男、年上の男。

女の本性

　
『何かスポーツやってらっしゃるんですか？』

そう質問したアタシに、カウンターの中からこの店の主人が答えた。

『ああ、こいつね、サッカーやってんだよ』

サッカー？

『ああ、中学校の教師やってて、部活でサッカーの顧問やってるんだ』

隣のジャージ姿の男性が言う。　

『そう、こいつも子供の頃からサッカー小僧でさ。３８になってもサッカーばかりで彼女の一人もいないんさ』

『ちょっと、やめてくれよ。そこまで言うか？』

『いいじゃねぇか、本当の事なんだからよぉ。お前の小さい頃から知ってる俺だから心配してるんだぜぇ』　

『判ってるよ』

ふたりの会話を交互に聞きながらアタシも口を挟んだ。　

『中学校では何を教えているの？』

『あ、教科は社会』

『学校の先生って、ほら子供達と一緒で夏休みや冬休みがあっていい職業だと思うわ』

アタシがそう言うと、いやいやと彼が小さく首を振る。

びっちり休んでいる暇は無いといい、部活の顧問をやっていれば練習や試合などで休みも潰れ、土日もどちらかは試合があったりで忙しいと言う。

まだ救いなのは、この地方は冬になるとかなりの積雪で、雪の積もったグランドでサッカーをする事もあるが、屋内での基礎トレが中心になるため少しは楽かなと笑った。