可愛い男

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  『今まで見えていなかったものが見えたのよ。 そして、それが自分にとって心地いいものだったって気付いたの』   『先輩、良かったですね、気付いて。 じゃなかったら山辺さんみたいになるとこでしたよ』     何も知らない薫は山辺さんを持ち出した。     『それはそれでいいと思うわ。ああいう生き方も素敵よ』   『ええーっ! 薫には無理っ!』     両手を頬に当て、まるでムンクの叫びのような顔をする薫。     『薫、盛り上がってるじゃん』   『あ、太郎くん、遅いじゃない』     遅れてやってきた太郎はアタシの向かいの席に腰を下ろしながら、ごめんごめんと言った。     『なんで先輩の隣に座らないのよ』   『この方がいいんだ』     グラスに入った水を持ち現れた店員に注文したあと、太郎はその水を一口飲んだ。     『ねぇ、太郎くんの職場に将来性のある素敵な人いない?』   『僕のとこ?』     薫は社外にも目を向けるようだ。     『合コンとかしないの?』   『う~ん、やってる人はやってるけど、うちの売り場って女性が多いからなぁ』   『じゃ、ダメね』     薫はまた一口ピザを口に入れた。  
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