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「楼主、もう一度言って?」
「すばるを足抜けさせたい」
なんの躊躇もなく、さらりと言ってのける楼主にも、それなりの理由があるのだった。
すばるは十五の子供であった。
花魁の用をこなしながら、先々最高の遊女となれるよう、様々な事を仕込まれている引込禿の内の一人であった。
まだ客を取ってはいないけれど、同じく引込禿として過ごす、しょうを合わせ、二人はなかなかの器量で、いずれどちらかが花魁になると言われていた。
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