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「突然ですが…杉本君は事情により転校することになりました」
朝一番に担任がクラスメイトに報告した。
「杉本くんはもぅ新しい所へ行ってしまったので、お別れの挨拶もできないんだけど…」
「いいよ!別に!」
クラスメイトの一人が言った。
そーだよ!
これで平和だよな
あいつ少年院にでも入ったんじゃない?
クラスメイトの間でいろんな憶測が飛ぶが、いい話は浮いてこない。
クラス委員の萩原ゆいは静観していた。
岩田をリーダーにして集まっていたメンバーは特に盛り上がっている。
―事前にナオヤと戦う話を聞いていたのかもしれない―
休み時間にやはり主要メンバーだった者が口火を切った。
「岩ちゃんがやったんだよ!杉本追い出したんだ!」
クラスが盛り上がる中、落ち込んでる宮内と、やはり空気に加わらないタケルだけが異質に見えた。
ゆいは昼休みにタケルを捕まえて、思い切って聞いた。
「ねぇ大和。杉本の転校の理由って…」
「おぉ…知ってるぞ」
ゆいは予想より簡単に答えが返ってきたのにビックリした。
「やっぱりあんた何か知ってるの!?」
「まぁ…あまりいい話ではナイがのぅ」
タケルは暗い顔をみせた。
「聞きたいか?」
「え…と…まぁ…岩田とか絡んでるの?」
「は?…あぁ他の奴らが騒いでる、岩田が追い出した的なコトか?子供一人にそんな力は無いわぃ」
確かに…と思いながら聞き返した。
「じゃ一体…」
「家庭の事情…特に親御さんの問題だな。先生の言ったことはある意味合っておる」
「ある意味?」
そこでタケルは少し言いにくそうに、ぽそりと話した。
「…アイツの母親。失踪したんじゃ…」
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