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「あ、アタシらこの辺で…」 左右二人の足が止まる。 「まだ早いから朝飯食ってきます」 「いつもそうね。じゃあ先に行くわよ?」 「はい。では…」 二人は横道にそれていった。 陽子はまっすぐ自分の通う彩聖(さいせい)女子高校へ向かった。 いつも一番に教室へ入り、一番最後に教室を出る。 委員の仕事もみずからかって出た。 教室に向かう途中、担任の“水島ゆう”と鉢合わせた。 教師三年目の彼女はこの学校の卒業生で、先生というよりも生徒寄りな考えなため、生徒からは人気があったが、この学校で生徒を差し置いて、一番生活指導の先生に指導を受けているようだ。 「おはよう天空寺さん。今日も早いわね」 「先生おはようございます。もうすぐこのクラスもバラバラですね」 「二年のクラスがえね。二年になったら天空寺さん、いよいよ生徒会長ね」 「二学期からですよ。一学期までは鳴海先輩が会長でわたしは副会長ですから」 「あなたが会長になれば、学校も安泰ね」 「そんな…先輩方の仕事を引き継ぐだけですわ」 先生と別れ、一階にある一年三組の教室に入った。 底冷えする教室に暖房のスイッチを入れる。 教室の窓際、前から二番目の席に座り、今日の時間割りの教材を机に入れ、カバンを後ろのロッカーにしまうと、教室の窓から外を眺めた。
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