7人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、アタシらこの辺で…」
左右二人の足が止まる。
「まだ早いから朝飯食ってきます」
「いつもそうね。じゃあ先に行くわよ?」
「はい。では…」
二人は横道にそれていった。
陽子はまっすぐ自分の通う彩聖(さいせい)女子高校へ向かった。
いつも一番に教室へ入り、一番最後に教室を出る。
委員の仕事もみずからかって出た。
教室に向かう途中、担任の“水島ゆう”と鉢合わせた。
教師三年目の彼女はこの学校の卒業生で、先生というよりも生徒寄りな考えなため、生徒からは人気があったが、この学校で生徒を差し置いて、一番生活指導の先生に指導を受けているようだ。
「おはよう天空寺さん。今日も早いわね」
「先生おはようございます。もうすぐこのクラスもバラバラですね」
「二年のクラスがえね。二年になったら天空寺さん、いよいよ生徒会長ね」
「二学期からですよ。一学期までは鳴海先輩が会長でわたしは副会長ですから」
「あなたが会長になれば、学校も安泰ね」
「そんな…先輩方の仕事を引き継ぐだけですわ」
先生と別れ、一階にある一年三組の教室に入った。
底冷えする教室に暖房のスイッチを入れる。
教室の窓際、前から二番目の席に座り、今日の時間割りの教材を机に入れ、カバンを後ろのロッカーにしまうと、教室の窓から外を眺めた。
最初のコメントを投稿しよう!