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陽子は放課後、駅のロッカーに入れてあった上着をかぶり、だて眼鏡をかけ、下ろしていた髪をポニーテールに結ぶと、アミューズメントパーク“ワンダーエッグ”に向かった。 入り口をくぐると、お目当てのゲーム機にまっすぐ進んでいく。 おぃ…あれWフェイスじゃないか?… まわりの常連ゲーマー達が囁き、ゲームの手を止め動きだした。 陽子はカプセル型したコクピットに乗り込み、慣れた仕草でコイン投入、カードをスラッシュし、パスワードを打ちこんだ。 “W.Face Log in!” この機械は戦闘用ロボットを駆使して戦うアクションゲームで、カプセルの中に入ると三面モニターが付いたコックピットになっており、ロボットの操縦が体感できるようになっている。 機械が全国の提携店とオンラインでつながっていて、それぞれの店にいるゲーマー達が日夜死闘を繰り広げ、ネットではサークルも立ち上がり、部隊を組んでいる者もいる。 ゲームが始まると、ロボットの戦闘が見れるモニターに、人が集まりだした。 「Wフェイスって…単騎で中隊を壊滅させたっていうあの“散血の火曜日”の当事者!?」 「通常のハンドライフルで、スナイパーライフルのような命中率だったり、接近戦なんかもぅ神業で相手を沈黙させるんだよ!」 常連が騒いでいる間に、よその店のプレイヤーを三機落とした。 「早ぇえ…あ…ありえねぇ」
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