新生活

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「東山先生と何を話したのか聞かないんだね」 「教えてくれないからだよ」 漣が話したいと思った時に聞こう。 教室を出た時からそう考えていた。 「入学式の後、『何の為にこの学校に来たのか考えなさい』って宿題を出された。でも、まだ答えが見つからないんだ」 「何の為か…。俺も考えたことないわ」 イギリスにいた時に父親から話を持ち出され、帰国すれば受験するものと疑わなかった。 「だけどね、秀人くん。何がやりたいのか。その為に何をすれば良いのか。それが見つけられそうな気がするんだ。だから東山先生にそう言ってきた」 明るい顔の漣に迷いは見えない。 幼く見える顔立ちだが、時折、大人っぽい表情を見せる。 今の漣の表情は未来を見据えている。 秀人にはそう見えた。 「そうか。これから6年もこの学校にいるんだ。ゆっくり見つければいいさ」 「もっと早く見つけるよ。俺も前に進まなきゃね」 「そうだな」 漣が愛おしい。 おもいっきり抱きしめたい。 誰にも渡したくない…。 誰にも…。 「漣くん。俺…」 「なに?」 「いや。なんでもない」 「ヘンな秀人くん」 恋なのか友情なのか。 秀人にも理解できないこの感情。 甘くてすっぱくて時に苦い。 それは…。 恋なのかもしれない。
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