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「タクはおいらの隣の席がいいの?」
「ヘタレさんが泣きそうだったから替わってあげようと思ったんですよ」
また、悪い子になった。
「あの二人の絆は強いね」
「でも、ヘタレさん可哀想でしたよ」
「漣くんも頑固だよね」
眉を八の字にする慧。
「月曜日は、俺が漣くんとヘタレさんをギュウしてあげますよ」
「じゃあ、おいらはタクをギュウしてあげるね」
拓真の顔がパアっと明るくなった。
「楽しみにしてます」
「有栖川君どうする?」
「ほっときましょう」
「ほっときだね」
電車が渋谷に到着した。
京王線に向かう慧の後ろ姿を見送る拓真。
束の間の初デートだった。
拓真は制服のポケットから三色のストラップを取り出した。
「今日も思い出してくれなかったですね。キャプテンサトル」
強く握りしめたストラップに優しく頬ずりをする。
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