あいしゅくんと唐揚げ定食

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「漣くん、大丈夫?」 漣はゆっくりと車椅子を動かすが、膝に乗せたトレイが滑り落ちそうで危なっかしい。 右膝が内側に曲がっているので、左右の高さが揃ってないのだ。 「漣くん貸して」 元気は自分のトレイを右手に持ち、漣のトレイを左手で持った。 「ごめんね」 「気にしな~い」 実際、元気にしてみれば2つ持つことなどなんともない。 「タク達まだ並んでるね」 カレーと麺類の3人は食券を買うのに手間取りまだ列に並んでいる。 「漣くんドコにする?」 「えーっと、窓側だね」 「おっけぇ~」 運良く窓側のテーブルが空いていた。 「どこがいい?」 「あいしゅくんの隣」 「じゃあ、ここにしようね」 元気は椅子を脇に除けて漣の車椅子を席に着けた。 「初めての定食だね」 「うん!あいしゅくんと初めて食べるから、今日は唐揚げ定食記念日だよ」 嬉しそうに顔を綻ばせ元気にもたれ掛かる。 「ご飯食べたら、もう1回ギュウしてよ」 「後でね」 頬を染める元気と漣。 初々しい恥じらいが見える。 「こらこら。なにイチャイチャしてるんですか?」 ほどなくして拓真たちが合流した。
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