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「部活ナニにするか決めましたか?部活なんて超面倒なんだよなぁ」
インドア代表の拓真がぼやく。
「俺、サッカー」
「サッカーって東山先生が顧問でしょ。物好きですね」
「拓真くぅ~ん。英国紳士ならサッカーやんなきゃ」
「英国紳士?誰が?」
「ふふふ」
漣がクスクスと笑い出す。
「こら!漣くん。食べさせにくいでしょ」
「あいしゅくんごめんね。久しぶりに秀人くんの“英国紳士”が出てきたからおかしくって」
そうだった。
公園で秀人から英国紳士の話を聞いた。
あの日、秀人から新しい世界を教えられた。
絶対に飛び越えられないと思っていた世界へ連れ出してくれた。
漣にとって秀人は大きな存在で、秀人のいない世界など考えられない。
「秀人くんは英国紳士なんだよねぇ」
漣の無邪気な笑顔が秀人だけに向けられた。
「なんかよく分かりませんけど、ヘタレさんはサッカー部なんですね」
「俺はバスケ!」
「えっ!?あいしゅくんがバスケで秀人くんはサッカーか。どーしよ」
漣は口を閉じて何かを考え始めた。
「もお。漣くん、ちゃんと口開けて」
元気は予想以上にてこずっている。
「漣くん、どうしたの?」
慧が声を掛ける。
「あいしゅくんか秀人くんと一緒の部活が良かったんだけど…」
「まぁ、無理でしょうね」
拓真はズバッと言った。
「体育会系は汗臭いから嫌いだな」
「え~~!!そっちぃ!?漣くんやりますなぁ」
「ふっふ~ん」
ニンマリと笑う漣。
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