あいしゅくんと唐揚げ定食

10/11
前へ
/201ページ
次へ
「部活ナニにするか決めましたか?部活なんて超面倒なんだよなぁ」 インドア代表の拓真がぼやく。 「俺、サッカー」 「サッカーって東山先生が顧問でしょ。物好きですね」 「拓真くぅ~ん。英国紳士ならサッカーやんなきゃ」 「英国紳士?誰が?」 「ふふふ」 漣がクスクスと笑い出す。 「こら!漣くん。食べさせにくいでしょ」 「あいしゅくんごめんね。久しぶりに秀人くんの“英国紳士”が出てきたからおかしくって」 そうだった。 公園で秀人から英国紳士の話を聞いた。 あの日、秀人から新しい世界を教えられた。 絶対に飛び越えられないと思っていた世界へ連れ出してくれた。 漣にとって秀人は大きな存在で、秀人のいない世界など考えられない。 「秀人くんは英国紳士なんだよねぇ」 漣の無邪気な笑顔が秀人だけに向けられた。 「なんかよく分かりませんけど、ヘタレさんはサッカー部なんですね」 「俺はバスケ!」 「えっ!?あいしゅくんがバスケで秀人くんはサッカーか。どーしよ」 漣は口を閉じて何かを考え始めた。 「もお。漣くん、ちゃんと口開けて」 元気は予想以上にてこずっている。 「漣くん、どうしたの?」 慧が声を掛ける。 「あいしゅくんか秀人くんと一緒の部活が良かったんだけど…」 「まぁ、無理でしょうね」 拓真はズバッと言った。 「体育会系は汗臭いから嫌いだな」 「え~~!!そっちぃ!?漣くんやりますなぁ」 「ふっふ~ん」 ニンマリと笑う漣。
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1000人が本棚に入れています
本棚に追加