めざせ1等賞

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「へぇ。漣くん妹いるんだ。甘えん坊だから末っ子かと思ってましたよ」 「タクくん。誰が甘えん坊なのさ?」 プイっとスネる。 自覚の無いところが甘えん坊の証明だ。 「おいらも、漣くんは末っ子だと思ってた」 「サトくんもヒドい。秀人くんが一人っ子の甘えん坊さんなんだよ。分かんないかなぁ」 誰が見てもぶっちぎりの甘えん坊は漣だ。 甘えん坊なのか甘え上手なのかは別にして、甘やかされ放題の6年間を過ごすのだ。 「秀人くんって一人っ子なんだね。おいらは姉ちゃんがいるよ」 「俺も一人っ子です」 「俺は5年の弟がいるけどケンカばかりだよ」 「お兄ちゃんと妹。お兄ちゃんも薫風で今年高校を卒業したんだよ」 漣の両親と兄もこの学校の卒業生だ。 「お兄さんはどこの大学に進学したのですか?」 この一言が拓真のこれからを大きく左右することになる。 拓真は地雷を踏んでしまった。 「お兄ちゃんは慶明大学の経済学部」 「慶明!?」 「タクくん知ってるの?やっぱり有名だもんね」 「ええ…まぁ」 「妹は慶明小学校の6年生。来年薫風を受験するから合格したら仲良くしてあげてね」 (まさか…そんな…悪夢だぁぁぁ) 拓真の表情が強張る。 まるで悪い夢を見ているようだ。 暫し思考が停止する。 「タ~ク!」 我に返ると慧が笑顔で抱きしめてきた。 「タクにギュウしてあげなきゃね」 「忘れてたかと思いましたよ」 「忘れるわけないだろ」 -ブーブー 「タク。携帯震えてるよ」 「ちょっとすみません。誰だよ。この番号知らないな」 怪訝な表情で通話ボタンを押す。 「もしもし?」 電話に出た拓真は、聞き覚えのある声に身を構えてしまった。 「あっ!!キミは…!?」 拓真は再び悪夢に落とされた。
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