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-パサッ
「はぁ。なんとかならないかしら」
真子はもう一度雑誌を手にした。
「この子カッコイイわ!」
-パラパラ
全てのページに目を通す。
「うん!やっぱりこの子がいいわ!」
温かな春の陽が差し込むリビング。
ソファーに腰掛け、お気に入りのカップでお茶を楽しむ。
平凡だが穏やかな時間は何物にも替えられない。
真子は午後のこの時間が好きだ。
息子の拓真はこの春から薫風学園に通い始めた。
大学まで慶明に通えば良いものを何を考えているのやら。
自分の口から将来の夢を語ったが、それはきっと方便であろう。
それでもかまわないと思う。
義父の敷いた道を進ませるのは最初から気が進まなかった。
ただ親として、将来の選択肢の幅をひろげてやれるのならと思っていただけだ。
拓真は口数が少ない。
母親の真子でさえも拓真の本心は計り知れない。
ゲーム以外に興味を持っているものはないのか?
友達はいるのか?
彼女は?
真子から見ても拓真は謎が多い。
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