拓真改造計画

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「あの。遼さんは、ゲームの他に好きなものありますか?」 「遼でいいから」 「え?あの…」 「テレてる。拓真くんって可愛いね」 男も女も絡むのは得意ではない。 まして遼は女の子。 拓真にしてみればこれでも精一杯なのだ。 遼にリードされっぱなしの今の姿は、秀人よりもヘタレ度が高いかもしれない。 「動物が好きだよ」 「友達に動物に詳しいのがいます」 「詳しくなくていいの。好きな人がいい」 「ああそうなんですね」 また会話が途切れる。 慣れない状況に身を置かれた場合の対処法が分からない。 拓真は友達ネタで会話を広げようとしたのだが、かなりの苦戦を強いられている。 普段の毒舌はすっかりと影を潜めてしまった。 「拓真くんって犬みたいだね」 「犬?」 「目がクリつとして豆しばみたいだよ。言われない?」 「言われませんよ」 少し頬を膨らませる。 闘争心剥き出しの孤独な一匹狼。 それが自分でイメージする拓真自身なのだ。 「犬みたいなんだけどなぁ」 「やめて下さいよ」 「だって拓真くんは愛されキャラだもん」 「え!?」 遼の言葉に戸惑いを見せる。 今までの学生生活の中で、愛される方に入ることなど無かった。 もちろん愛する側でもない。
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