披露宴

3/19

1000人が本棚に入れています
本棚に追加
/201ページ
「花嫁さんホンットきれいだよねぇ」 そう言ったのは長身で茶髪の青年。 「デキ婚の割には上出来だよ」 短髪で、日焼のせいか色黒の青年がそう続いた。 「妊娠8ヵ月でしょ。お腹目立たないなんてスタイル良すぎだよぉ」 細身で仔犬のような瞳が印象的な青年がスネたように言う。 「就職と結婚を一度に手にして幸せだね」 黒髪のキレイな顔立ちの青年は新郎を見つめて微笑んだ。 新郎は今年の春、有名私立大学を優秀な成績で卒業し大手新聞社へ就職した。 新婦とは大学のサークルで知り合った。 お互いに早々と第一志望の企業から内定をもらい、他の学生が就職活動をしている時期には愛を育んでいた。 卒業を前に新婦の妊娠が発覚し、いわゆる“デキちゃった結婚”となってしまったが、彼にとっては順風満帆な社会へのスタートとなったのである。 各テーブルへの挨拶を一通り済ませた新郎が、笑顔を崩しながら4人のテーブルにやってきた。 「シューさん、顔崩れっぱなしですよ」 “シュー”とは新郎の秀人。 「ほんとだよぉ。超~~羨ましいよ。俺も結婚したくなっちゃったなぁ~♪」 茶髪の青年はテンションが高くて声も大きい。 「羨ましいでしょ~!だけど結婚の前に彼女を作るのが先なんだぞ!」 「あっ、そうか!!」 「有栖川さんったら、相変わらずバカですね」 「アリスちゃんは、ずーっとオバカさんだよね」 「ちょっとぉ。タクもリーダーもひどいよぉ。漣くんなんとか言ってよぉ」 「いや。アリスちゃんは…やっぱりバカだな」
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1000人が本棚に入れています
本棚に追加