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「花嫁さんホンットきれいだよねぇ」
そう言ったのは長身で茶髪の青年。
「デキ婚の割には上出来だよ」
短髪で、日焼のせいか色黒の青年がそう続いた。
「妊娠8ヵ月でしょ。お腹目立たないなんてスタイル良すぎだよぉ」
細身で仔犬のような瞳が印象的な青年がスネたように言う。
「就職と結婚を一度に手にして幸せだね」
黒髪のキレイな顔立ちの青年は新郎を見つめて微笑んだ。
新郎は今年の春、有名私立大学を優秀な成績で卒業し大手新聞社へ就職した。
新婦とは大学のサークルで知り合った。
お互いに早々と第一志望の企業から内定をもらい、他の学生が就職活動をしている時期には愛を育んでいた。
卒業を前に新婦の妊娠が発覚し、いわゆる“デキちゃった結婚”となってしまったが、彼にとっては順風満帆な社会へのスタートとなったのである。
各テーブルへの挨拶を一通り済ませた新郎が、笑顔を崩しながら4人のテーブルにやってきた。
「シューさん、顔崩れっぱなしですよ」
“シュー”とは新郎の秀人。
「ほんとだよぉ。超~~羨ましいよ。俺も結婚したくなっちゃったなぁ~♪」
茶髪の青年はテンションが高くて声も大きい。
「羨ましいでしょ~!だけど結婚の前に彼女を作るのが先なんだぞ!」
「あっ、そうか!!」
「有栖川さんったら、相変わらずバカですね」
「アリスちゃんは、ずーっとオバカさんだよね」
「ちょっとぉ。タクもリーダーもひどいよぉ。漣くんなんとか言ってよぉ」
「いや。アリスちゃんは…やっぱりバカだな」
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