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「ふっふ~ん」
漣はご機嫌だ。
「い~ち・に~い・い~ち・に~い」
「漣くんおはよう」
「あっ、サトくん!おはよう」
「粘土作ってるの?」
「ちがうよ」
-キーンコーンカーンコーン
「やっぱり今日も遅刻だね」
-バタバタバタ
「おはよー!」
「有栖川さん。あなたね」
「しーっ!」
「何ですか?」
拓真を制し元気がちょんちょんと下を指差す。
漣が奇妙な遊びを始めたようだ。
「れ~んくん。なにちてるんでちゅか?ねんどでおあちょびでちゅか?」
「あいしゅくん!おはよう!!ギュウしてぇ~」
「いやいや。漣くんちがうでしょ!ギュウじゃないでしょ!!離れなさい!」
今朝は拓真も騒がしい。
漣は粘土遊びをしている。
「粘土じゃないよ。タクくんにもらったんだ」
騒動の原因は拓真だった。
「あれは粘土みたいですけどシリコンのパテです。適度に弾力があるので、握ることで指先が鍛えられるらしいですよ」
「それとね。これも見て。ジャ~ン!!」
漣は自ら効果音を付けて両手首を見せる。
「何すか?」
「リストウエイトです。筋力がつくんですって」
「スポ魂漫画みたいでしょ。ふふっ」
今朝も漣は無邪気な笑顔をふりまく。
この笑顔に安らぎを感じる。
守りたいと思った笑顔に自分が癒やされている。
秀人はこの幸せが続くことを疑わなかった。
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