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東山が入ってきた。
「起立!」
背筋をピーンと伸ばす漣に東山はOKサインを出す。
「おはようございます!」
今朝は気持ち良くスタートした。
「ま、ま、茉森君!!何してるんですか!?」
最前列で漣が粘土遊びをしている状況を目の当たりにし、冷静沈着な東山らしからぬ慌てぶりを見せてしまった。
「指先を鍛えるリハビリで~す」
「はあ?リハビリ!?」
「すみません。粘土みたいですけど、シリコンのパテで指先を鍛える道具です」
棒読み口調の拓真。
そろそろ説明に飽きたようだ。
「そうですか。茉森君。授業が始まる前に片付けて下さいね」
「はーい」
漣は笑顔で返事をするが、聞いているかどうか怪しい。
「今週は今日で終わりです。しっかり頑張って下さい」
東山が出て行った。
「漣くん!全部並べるから遊んでいるように見えるんですよ」
拓真が持ってきたパテは単色なのだが、強度によって色分けされている。
拓真は3種類のパテを持ってきた。
つまり、3色の粘土みたいな物が漣の机に乗っているのだ。
「早く片付けなさい!」
拓真は朝から疲労感におそわれた。
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