渋谷に行こうね

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「タク。あれドコで買ったの?」 秀人はパテを指差し、左隣の拓真に声をかける。 「ヘタレさんもほしいですか?」 「違うよ。高そうだなと思ったから聞いたんだよ」 「ウエイトを買ったついでに指を鍛えるものがないかって聞いたんですよ。で、漣くんのことを話たら、店長さんが感激してパテをくれたんです」 「太っ腹だね」 漣は身体を捻って斜め後ろの拓真の方を向いた。 「ウエイトはタクくんがくれたから、何かお返ししなきゃね。何がいい?」 「考えときますね」 「漣くん。1等賞のご褒美はみんなから一つだからね。4つは欲張りだよ」 慧は全て叶えてやりたいが、漣が可愛いので少し意地悪を言ってみた。 「そうですよ。一つだけなんだから、もっと大きなお願い事をすればいいんですよ」 「タクいいこと言うねぇ。漣くん。今の4つは副賞ってことで貰っちゃいなよ」 秀人にしては気の利いたことを言った。 「一つかぁ。何がいいかなぁ。おっと!さぼっちゃた。ヤバい!ヤバい!い~ち・に~い・い~ち・に~い」 漣はパテを右手に持ち替えた。 「う…ん。タクくん。これって、もっと柔らかいのもある?せっかくだから右手も鍛えようと思うんだけど、俺の握力じゃムリみたい」 ご褒美を目指して貪欲になってきたようだ。 「7色くらいありましたよ。柔らかいのがあるか見てきましょうか?」 「お願いしてもいい?」 「どうせ帰り道だからいいですよ」 珍しく拓真がニコッと笑顔を見せた。 「タクどこにあるの?」 「渋谷です」 「だったら俺も行く!」 元気が話に乗った。 「おいらも行くよ」 慧の一言で拓真の顔がほころんだ。
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