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「あいしゅくん。靴履かせて」
「漣くん。できることは自分でやらなくちゃダメだよ」
慧は小さな子供に説き聞かせるように言った。
「上履き脱いだら腕が疲れちゃった」
「はいはい。履かせてあげるね。オリーブちゃん今日は大目に見てあげて」
元気は漣が甘えていると分かっているが、そこがまた可愛くて甘やかしてしまうのだ。
「“オリーブちゃん”っておいらのこと?」
「そーだよ」
元気は漣に靴を履かせながら返事をした。
新品の革靴はスポーツシューズよりも履かせにくい。
「オリーブって、くすぐったいよ。じゃあ、有栖川くんは“アリスちゃん”だな」
「あっ!それいい!!慧くんGOODだよ」
秀人も“アリスちゃん”に一票を投じた。
「キャラ違いですが、あいしゅくんよりマシですね」
「ほぉ~!あいしゅちゃんだぁ。カワイイね」
こうして、元気は“アリスちゃん”と呼ばれるようになった。
「よし!漣くん履けたよ」
「あいしゅちゃんありがとう」
両手を前に出した。
おねだりのポーズだ。
元気は漣を抱き上げて、屋外用の車椅子に乗せる。
「あまあまですね。虫歯になりそうです」
「そしたら父ちゃんに治療してもらいなよ」
拓真は慧と最初に出会った時のことを思い出した。
「痛くしないように言って下さいよ」
「俺は整骨院紹介して。腰痛になりそうだよ」
後に、元気は漣を甘やかしすぎたことを後悔するのだが、みんなから自業自得だと言われた。
「よっしゃぁ~!行こうか!!」
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