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「キレイだ」
慧も拓真も元気も、口をポカンと開けたまま動けない。
それは今から1分前の出来事。
駅に着いた。
「れぇ~んっ!」
前からキレイなお姉ぃさんがやってきた。
「持ってきてくれた?」
「ええ。無駄遣いしないようにね」
「分かってるよ」
「何に使うの?」
「俺のお小遣いなんだからなんでもいいでしょ。いちいちうるさいよ」
漣は頬を膨らませる。
「こんにちは」
秀人がお姉ぃさんに挨拶をする。
「秀人くんごめんなさいね。漣が無理を言ったんでしょ。困った子だわ。帰りは樹に迎えに行かせるから、それまでお願いね」
「無理なんかじゃないですよ。あっ、紹介します。織作君と新納君と有栖川君です」
秀人はお姉ぃさんに3人を紹介する。
「はじめまして。漣がいつもお世話になってます。漣と仲良くして下さってるんですってね。この子、こんな身体だから迷惑かけてると思うけど、仲良くしてあげてね」
お姉ぃさんはニコッと微笑んだ。
つまり3人は、お姉ぃさんのあまりの美しさに心を奪われ、ポカンと口を開けて突っ立っているのだ。
「あら。新納君ってどこかで会ったことないかしら?」
「はいっ!?」
拓真は名前を呼ばれて我に返る。
「新納君のお父さんはテレビに出ているんですよ」
「あらそうなの。そんなに有名な方はお知り合いにいらっしゃらないし、気のせいかしらね」
「だと思います」
拓真は冷静を装った。
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