1000人が本棚に入れています
本棚に追加
「拓真くぅ~ん。黒い女ドコ?」
「前から来てますよ」
渋谷センター街はコギャルで溢れかえっている。
秀人はインターネットでガングロギャルの存在を知った。
日本女性はおしとやかで上品なイメージがあったので、現実とのギャップに衝撃を受けた。
「うわっ!すっげえ~!」
「ヘタレさん。目を合わせないようにして下さいよ」
「なんで?どうして?WHY?超ファンキーじゃん!!」
秀人が浮かれていると、顔が茶色くて、目と唇は白、頭は金か銀もしくはエクステを張り巡らせた集団と目が合ってしまった。
「あんたたち中坊?マジタイプなんですけど。あたしたちヒマなんだ。付き合わない?」
平坦かつだるそうな喋り方だ。
「いや。俺たちは…」
「超カワイイ!」
秀人が振り返ると、黒い女達が漣を取り囲んでいる。
「名前は?」
「何歳?」
漣は驚いて声が出ない。
「俺たちヒマじゃないから。そこらへんのヤツらに声かけなよ!」
秀人のこの一言でギャル軍団がキレた。
「なにそれ?マジむかつくんですけど」
「なんか文句あんの?」
険悪な展開になってきた。
相手はセンター街を拠点にするガングロ軍団。
おのぼり中学生が太刀打ちできるわけがない。
この場合は逃げるが勝ちだ。
でもどうやって?
拓真の本能が危機を感じた。
逃げようにも5人一緒は危険だ。
まずは漣を安全な場所に逃がさなくては…。
考えを巡らせていると慧と目が合った。
拓真は直感した。
慧も同じ事を考えている!
「あっ!!」
拓真はギャル軍団の背後を指差すと同時に、秀人の腕を掴んで軍団を突っ切り走り出した。
予想通りに軍団は拓真と秀人を追いかけた。
「アリスちゃん!漣くん連れて逃げて!」
慧が拓真たちと反対の方向を指し示す。
元気は慧の指示通りに漣の車椅子を押し、センター街を全力で走り抜けた。
最初のコメントを投稿しよう!