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そこへ元気たちが戻ってきた。
「シューちゃんズルイよぉ。はい、漣くんのも持ってきたよ~ん」
元気は漣の前に皿を置こうとしたが、
「あれっ?」
すでにそこには秀人が切り分けたローストビーフが置いてあった。
「なぁんだ。これ漣くんのだったんだね。俺たちも持ってきちゃったよ。じゃ、俺がこれも食ーべよぉっと」
「1枚は俺にくれるんでしょうねぇ?」
拓真が元気の顔をチラリと見て低い声で言った。
「やだ。俺、漣くんに持ってきたのにぃー!」
「じゃ、漣くんにあげて下さい。俺は漣くんからもらいますんで」
拓真がしたり顔で言う。
どうやらこの勝負は拓真の勝ちのようである。
今回に限らず、元気が拓真に勝ったことなど10年のうちでも数える程しか無い。
「おっ!!俺そろそろ行かなきゃ。なんてったって主役だし」
「またあとでね」
慧がふにゃっとした笑顔を秀人に見せた。
「おう!!例のヤツ、楽しみにしてるぜぇ」
秀人は満面の笑顔を見せると、持っていたフォークを漣の左手に握らせた。
「じゃあな」
無駄に爽やかな笑顔を残し、秀人は別のテーブルへと向かった。
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