披露宴

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ローストビーフとシャンパンを持った元気が戻ってきた。 「アリスちゃん。さっき俺のを食べたでしょ。返してよ!」 「えーっ!!漣くん食べないのかと思って、助け船を出したつもりだっんだけど。ダメ?」 懇願するように漣を見つめる元気だが、漣は反撃に出る。 「ダメ。それ、全部ちょうだい」 「アリスちゃんが悪いよ」 慧も漣に加勢する。 「もぉ。ぶぅー」 元気は唇を突き出しスネたマネをするが、次第に笑い出した。 「ふふっ。はいはい。負けました。4つに切るの?」 「半分に切ってよ」 「オッケェ~!」 元気は1枚分のローストビーフを半分に切り、食べやすいように一口大にまとめた。 漣は元気の方を向き「あーん」と口を開けた。 「しょうがないなぁ」 元気は笑いながら、漣の口へと愛しのローストビーフを運んでやる。 「うっめぇっ!!」 「そりゃそうだよ。あったかいしね。もっと食べる?」 元気は残りの半分も一口大にまとめようとする。 なんだかんだ言っても、やはり元気は漣に甘いのだ。 「ありがと。もういいよ。久しぶりに、アリスちゃんに食べさせてもらいたかったんだ」 漣は軽く頭を下げて微笑む。 「アリスちゃんだけだね」 「なにが?」 「漣くん、いつも自分で食べたいって言ってたもんね」 「バカは特別なんですよね」 「リーダーもタクもありがと。そりゃあ、自分で食べたいよ。でも、昔からアリスちゃんには甘えちゃうんだよね」 「そ。俺だけの特権」 元気は得意気に笑った。
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