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「ちょうど10年だね!!」
突然、元気が思いついたように言った。
「何が10年なの?」
そう言って慧もシャンパンを飲み干す。
「俺たちが出会ってだよ。中学に入学して10年だなぁって思ってさ」
「ふふっ。あの頃は、秀人くんがおいらよりも小さかったもんね」
「あの無駄筋は、いつからニョキニョキしてきたんでしたっけ?」
拓真はお酒が入り毒舌度がアップしてきた。
元々毒舌だが、それが拓真の魅力の一つだ。
「俺がシューくんと初めて会った時はこれ位だったよ」
漣は自分の耳の辺りを示す。
「いやいやっ。漣くん。いくらなんでも小さすぎるでしょ」
拓真が普段より高めの声でツッコミを入れる。
「ホントだってば。写真だってあるんだから」
「はいはい」
「タクぅぅぅ」
漣は必死に訴えたが拓真は信じてくれない。
「でもさ。今じゃ新聞記者だよ」
慧は新郎席で畏まっている秀人を見て3人の方に向き直った。
「学者の卵と教師の卵と作家の卵と。それから…」
「大学生ですけど。何か?卵じゃありませんよ」
拓真はスネているのか笑っているのかビミョーである。
「弁護士の卵だから、タクも卵だよ」
ふにゃっと笑う慧に向け、拓真が照れた笑顔を見せる。
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