披露宴

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「みんな可愛かったよね。ねぇ。ねぇっ。5人の中で一番最初に会ったのが誰かって覚えてる?」 元気は10年前の自分たちを思い出してクスッと笑った。 「俺はシューくん。で、シューくんは俺」 「とーぜんです!あなたたちはあっちへ行っててください」 拓真の“タク節”が炸裂する。 「ひどいよ。ウルウル。アリスちゃ~ん。アクマがイジメるぅ」 「はいはい。漣くん。泣かないでね」 元気は漣の頭を撫でてやる。 「おいらはアリスちゃん。合格発言の時にね」 「えっ?リーダーとは制服の採寸の時じゃなかったっけ?」 「合格発表だよ。忘れっぽいな。で。タクは?」 「忘れちゃいました」 「タクも忘れっぽいね」 ふにゃりと笑う慧を見つめる拓真。 (忘れっぽいのはあなたでしょ) 「俺は漣くん。入試の時、席が隣同士だったんだよねぇ~」 首を斜めに傾ける元気。 はにかんだ笑顔が眩しい。 「昔のことなのに、よく覚えてるな」 「忘れるわけないじゃん。めちゃめちゃ覚えてるよ」 「まっ、そーだよな。俺、こんなんだしな」 漣は車椅子に視線を送る。 「違うよ。漣くん。あの時はまだ歩いていたじゃん」 「えっ!?歩いてたぁ!?」 慧と拓真が二人して素っ頓狂な声を出した。 「おっ、リーダーとタクがハモッた。ふふっ。そうだったわ。俺が歩いていた時を知ってる、数少ない人なんだよね。アリスちゃんってさ」 漣は懐かしい記憶を蘇らせる。
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