1000人が本棚に入れています
本棚に追加
/201ページ
「みんな可愛かったよね。ねぇ。ねぇっ。5人の中で一番最初に会ったのが誰かって覚えてる?」
元気は10年前の自分たちを思い出してクスッと笑った。
「俺はシューくん。で、シューくんは俺」
「とーぜんです!あなたたちはあっちへ行っててください」
拓真の“タク節”が炸裂する。
「ひどいよ。ウルウル。アリスちゃ~ん。アクマがイジメるぅ」
「はいはい。漣くん。泣かないでね」
元気は漣の頭を撫でてやる。
「おいらはアリスちゃん。合格発言の時にね」
「えっ?リーダーとは制服の採寸の時じゃなかったっけ?」
「合格発表だよ。忘れっぽいな。で。タクは?」
「忘れちゃいました」
「タクも忘れっぽいね」
ふにゃりと笑う慧を見つめる拓真。
(忘れっぽいのはあなたでしょ)
「俺は漣くん。入試の時、席が隣同士だったんだよねぇ~」
首を斜めに傾ける元気。
はにかんだ笑顔が眩しい。
「昔のことなのに、よく覚えてるな」
「忘れるわけないじゃん。めちゃめちゃ覚えてるよ」
「まっ、そーだよな。俺、こんなんだしな」
漣は車椅子に視線を送る。
「違うよ。漣くん。あの時はまだ歩いていたじゃん」
「えっ!?歩いてたぁ!?」
慧と拓真が二人して素っ頓狂な声を出した。
「おっ、リーダーとタクがハモッた。ふふっ。そうだったわ。俺が歩いていた時を知ってる、数少ない人なんだよね。アリスちゃんってさ」
漣は懐かしい記憶を蘇らせる。
最初のコメントを投稿しよう!