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「遅くなっちゃったね」
夕焼け空を見て秀人が言った。
「ウチ来る?」
「今日は帰るよ。ノーアポだしね。だって俺は」
「英国紳士でしょ」
「ピンポーン!」
「好きだね。英国紳士」
「理想だよぉぉぉ!!」
両手を広げ空に向かって叫ぶ秀人と、そんな秀人を見て笑みを浮かべる漣。
秀人の笑顔が眩しい。
この時から、漣にとって秀人は憧れであり希望となった。
「英国紳士って、帽子と何だっけ?」
「人それぞれだけど。俺の理想は、シルクハットとフロックコートとステッキだよ~ん」
「フロックコートって、いつの時代の話だよ。それに夏はどうするの?」
「夏は…タキシード」
「んふっ。シルクハットとフロックコートとステッキだね。覚えておくよ」
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