お受験への道-秀人&漣篇(おまけ)

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漣は秀人から体を離した。 「秀人くん。俺からもプレゼントがあるんだ」 そう言って額に入った絵を渡す。 「これ…俺だよね?」 「うん」 「ありがとぉぉ」 漣は秀人の似顔絵を描いた。 鉛筆で精密に描き上げられた秀人は穏やかな優しい瞳をしている。 「俺、こんなに優しくないでしょ?」 「ナニ言ってんのさ。もっと優しいよ」 秀人は漣の右手を見る。 公園で握手をした時よりも握力が弱くなっている。 「漣くん。無理しちゃダメだよ」 「大丈夫だよ。俺ね。将来は絵の仕事がやりたいんだ」 「絵描き?」 「できれば…」 秀人の絵を見つめながら遠慮がちに言ってみる。 「そんなに好きなんだ」 「俺、こんなだし。自分で出来ること少ないし。でもね、絵を描いていると、こんな自分でも認めてあげたくなるんだ。ヘンかな?」 「ヘンじゃないよ。漣くんはきっと有名な画家になるよ」 秀人は自分の似顔絵を両手で高く掲げてみた。 「有名になったら、また秀人くんを描くね」 「約束だからな!」 「今日は約束ばかりだね」 漣は、この約束も守れなかった。
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