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「秀人くんと一緒なら」
「なに?」
「薫風…行ってもいいかな」
はにかんだ瞳で秀人を見つめる。
「ホント?うっれしいなぁ~!行こう!行こう!」
「今からでも間に合う?」
「3学期になったら願書を出して…ギリギリかも」
秀人は頭の中で日程を組み込む。
「受験勉強してないんだけど」
「全然してないの?」
「今、思いついたんだもん」
「それヤバいよ!今日から睡眠時間を減らして勉強だよ」
「オニ!」
「漣くんと、薫風に行きたいんだよぉぉぉ」
秀人は駄々っ子のように手足をバタバタさせる。
「それってさ。俺が落ちるって前提だよね?」
子どもっぽくぐずる秀人に漣は怒ったフリをした。
「漣くんね。ドコを受験するか分かってるんでしょ。薫風だよ!く・ん・ぷ・う!」
「秀人くんコワいよ」
「漣くん。お受験を、なめたらいかんぜよ!」
「秀人くんってドコ出身だよ?」
「うっさい!勉強しろ!試験まで1ヶ月しかないんだぞ」
「わかったよ。やるよ。算数のドリル貸してよ」
その後、漣が本気で試験勉強をしたかどうかは定かではない。
秀人くん─
約束、守れなかった…
ごめんね
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