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「おいら1組だぁ」
「ふたりとも1組ですね。ふふふ」
「やったぁー!1組だ。フォ~!!」
「漣く~ん。1組だって。同じクラスだよぉぉぉ」
「秀人く~~ん。ハグハグ」
1999年4月。
薫風中学に5人の少年が入学した。
その年の受験生は過去最高の人数で、競争率は10数倍の狭き門だった。
秀人と漣が教室に入る。
次の瞬間、教室内の好奇な目が漣に向けられた。
「はいはい~。通して下さいねぇ~」
秀人は近くの席にあったイスを脇に置き、漣の車椅子を席につけると自分は隣に座った。
教室を見回した。
小学校より教室が広く感じられる。
天井も高いように思う。
新しい生活が楽しいものであれと願った。
「漣くん。楽しみだね」
「そう…だね」
「漣くん…」
漣は不安だった。
勢いで受験し合格したが、果たしてこの選択は正しかったのだろうか。
教室に入った時の突き刺さるような好奇な目。
「来なければ良かった…」
早くも漣は、この学校に入学したことを後悔していた。
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