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「あれ。キミあの時の?やっぱりそうだ!あ~良かったぁ」
漣は耳元の騒がしい声に顔を向けた。
「覚えてる?鉛筆貸してもらった。ほら!ほら!」
漣は覚えていた。
入試の日、筆箱を忘れて泣きそうだった少年だ。
「ありすがわげんきくん」
「そ!そ!そーだよ!覚えててくれたんだね。キミも合格したんだね!合格発表の時も制服の採寸の時も会えなかったから、落ちちゃったのかと思って心配してたんだよ。もうね、知らない人ばかりだから心細かったの。また会えてちょー嬉しいよぉ。仲良くしようね」
元気はマシンガンのように一気に喋った。
「漣くん。こちらの騒がしい人と知り合い?」
秀人は皮肉を込めて言った。
「あっ、そうだ!れんくんだ。そうだ!そうだ!れんくんだったよね!!ねぇねぇ。れんくん、こちらの小さい人に紹介して」
元気も切り返した。
「小さいってなにさ!」
「騒がしいってなんだよ!」
「ちょっ。二人ともやめてよ」
漣は間に入ろうとするが、秀人と元気は戦闘態勢に入っている。
「小さいから小さいって言ってるんだよ。制服ダブダブでしょ!!」
「ダブっ…うっ」
秀人は一番気にしているところをつかれた。
「もおー。漣くぅん。こいつ誰なんだよぉ」
秀人は手足をバタバタとして暴れだす。
「秀人くん、落ち着いてよ。ありすがわくん、ごめんね」
「なんで謝るんだよ!俺悪くないよー!」
身長のことを指摘され、秀人は完全にスネた。
一度機嫌を損ねるとやっかいだ。
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