始業式

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ヤバい!ヤバい! 元気は猛スピードで疾走中。 今日からいよいよ一学期が始まる。 新入生達は少なからずの希望を抱き、今日を迎えた。 勿論、この男は例外だ。 -キーン コーン カーン コーン チャイムが鳴った。 今日は始業式。 全校生徒が体育館に集合している。 「秀人くん。有栖川君が来てないんだけど…。休みかな?」 漣に言われなくても秀人は気付いている。 まさかの退学第一号? いくらなんでもそれはないだろう。 いや、自分のバカさに気付いたとか? それならありえるかも…などと考えを巡らせる。 -バタバタバタバタ 「おはよう!電車乗り間違えちゃって大変だったよ。セーフセーフ!」 元気が今朝もハイテンションでやって来た。 「初日から遅刻?全校集会だよ」 秀人は苦笑しながら声を掛けたが、元気は気にとめる風でもない。 「漣くん、おはよう」 元気は当然のように漣の横に座った。 「おはよう」 漣の顔色が明るくなったのを見て、秀人は複雑な思いに襲われる。 漣の笑顔が自分以外に向けられている。 初めてのことに秀人は戸惑う。 嫉妬? 喜ばしい事なのに…。 素直に喜べない自分に嫌悪感すら覚える。 校長の挨拶は長い。 「昨日といい今日といい、連日の原稿作成お疲れさまです」 秀人は心にも無いことをつぶやいてみる。 何でもいいのだ。 何か言葉を発しないと不安なのだ。 集会後は一年生だけが体育館に残された。 主な教職員が整列している。 東山は昨日のスーツ姿とは打って変わって、黒のジャージというラフな服装。 「かっけえ~!」 秀人の淡い初恋が始まった。 校長と教頭は挨拶だけをして退席した。 各クラス担任や教科担当の紹介。 服装をはじめとする校則の説明。 学校案内のVTR鑑賞。 退屈な時間が流れた。 結局、午前中は体育館で過ごした。
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