始業式

6/7
前へ
/201ページ
次へ
「あっ、そうそう。俺さ、昨日から不思議だったんだけど、1組って他のクラスより人数少なくねぇ?漣くんと何でだろうねって言ってたんだよね」 秀人が切り出した。 「あっ、それおいらも思った」 「俺もぉー!」 今年の新入生は90名。 1組が20人で2組と3組がそれぞれ35人といったクラス編成である。 「特進クラスだからでしょ」 拓真が言った。 「トクシンクラス?」 「何それ?」 「食べられるの?」 おバカな質問は元気である。 「ちょっと待って下さいよ。えーっ!?本当に知らないんですか?」 4人はコクリと頷いた。 「特別進学クラスのことですよ。入試合格者上位20人が集められたクラスなんです」 「へぇ。上位20人ね。えーっ!!俺が!?俺、20番以内だったの?」 元気は驚いて唐揚げを吹き出した。 「やめてください!!なんであなたみたいなのが合格したんでしょうね。間違いだと思いますが、あなた5番ですよ」 「ご・ご・ご・5番んんん!?」 合格しただけでも奇跡なのに5番だなんて有り得ない!! 元気でなくとも驚いて当然だ。 「なんだ有栖川君。バカだと思ってたけどヤルねぇ」 秀人は少しだけ元気を見直したようだ。 「そう言うあなたは4番でしょ」 「はっ!?4番?またぁ~」 秀人は驚かない。 元気に負けるはずがないと思っていた。 「すごいね。タクはどうして知ってるの?」 「タク?」 「タクだろ。ね!」 拓真は慧に"タク"と呼ばれてドキッとした。 慧はふにゃっとした笑顔を向けてくる。 「合格発表の時に、上位5人の名前も掲示板に発表されてましたよ」 「へぇ。漣くん知ってた?」 「知らなかった。有栖川君は?」 元気は唐揚げを頬張り、首をブンブンと横に振っている。 「カンベンして下さいよ。あなたたちは入試要項を読まなかったのですか?」 また4人同時に頷く。 「じゃあ教えてあげます。織作さんは3番ですよ」 「おいら3番なの!?へぇすごいや」 あなたのことでしょ。 そんなところも可愛いなぁと拓真は思う。
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1000人が本棚に入れています
本棚に追加